相続人を特定するために必要な戸籍は?

こんにちは。 京都の相続専門税理士、アーム税理士法人です。

『相続人を特定するために必要な戸籍』について。

相続が発生した場合、役所への各種届出や財産の解約・名義変更、遺産分割協議、準確定申告、相続税の申告などたくさんやるべきことがあります。

これらを進めていくうえで、きちんとわかっておかないといけないことがあります。それは誰が相続人なのかということです。

そんなの家族なんだからわかってるよ!と思っていても、いざ調べてみると聞かされていなかった離婚歴があり、他に子供がいることが発覚した・・・なんてこともよくある話です。

想定していなかった相続人が出てくると、相続手続きのスケジュールに大幅な狂いが生じ、どのように進めていけばよいかわからず困ってしまうことになります。

相続人が誰なのかというのは相続が起きた場合には最も重要なポイントになります。

ではどのように特定していくのかというと、戸籍をたどって確認していくことになります。

その戸籍というのは、死亡の事実が記載された最終の戸籍だけではありません。出生から死亡までの全ての戸籍を確認する必要があるのです。

今回はこの『戸籍』について順番に確認していきましょう。

 

1.戸籍の種類

戸籍の単位は、『筆頭者』とその家族の括りを1単位として作られています。子供が生まれれば、まずは『筆頭者』である親の戸籍に入りますが、結婚などの事由が生じれば親の戸籍から出て新たな戸籍が作られます。従って、基本的な考え方としては結婚していれば自分または配偶者が『筆頭者』となっている戸籍になっており、独身であれば『筆頭者』となっている親の戸籍に入っているということになります。

この『戸籍』については以下の3種類があります。

【1】現在戸籍・・・現在の状況を示した戸籍

【2】除籍・・・その戸籍にいた人全員が結婚や死亡、転籍などでいなくなってしまった戸籍

【3】改製原戸籍・・・法改正により戸籍の編製方法が変更となった際に、その変更の元となった古い戸籍(一番最近の変更としては平成の改製で「コンピュータ化」の実施があります。)

 

2.戸籍の請求先

戸籍は『本籍地』の所在する市町村の役所へ請求することになります。また、役所以外にも「証明書発行センター」が設けられている市町村については、そちらで取得することもできます。

(参考)京都市の証明書発行コーナーはこちら

よくある事例としては、本籍地を実家の住所にしており、自宅からは遠方で取りに行くことができないということがあります。この場合には郵送で請求するという方法があります。大抵は、各市町村の役所のHPに郵送で請求する方用の案内ページがありますので、請求の手順についてはそちらをご確認下さい。(郵送請求の場合は、取得手数料の支払のために『定額小為替』を準備する必要があります。)

 

3.被相続人の出生から死亡までの戸籍

相続人特定のための戸籍集めですが、まずは被相続人(お亡くなりになられた方)の出生から死亡までの戸籍すべてを取得します。手順は以下のとおりです。

①現在の本籍地の市町村の役所にて、相続が起きたことを伝えたうえで「出生から死亡までの戸籍すべて」という言い方で請求すると、担当の方が該当するものをすべて出してくれます。この時には必ず「謄本」で取りましょう!(「現在戸籍」「除籍」「改製原戸籍」のどの種類で出てくるかはケースバイケースです。)

②①で出生からのすべてが揃えばよいですが、結婚や引っ越しなどにより本籍地を変更している場合はすべてが揃いません。その場合は、①で取得した戸籍を確認して以前の本籍地の市町村はどこであったかを調べて、その市町村へ古い戸籍を請求します。

③②の市町村でもすべてが揃わなければ、またその前の市町村を戸籍で調べて、その市町村へさらに古い戸籍を請求します。(これを繰り返して出生から死亡までのすべてを揃えます。)

上記手順により、すべての戸籍が揃ったら中身を確認していきます。

 

4.相続人特定のための確認手順

①最終の戸籍を見て「死亡時点において配偶者がいるか?」を調べます。

②すべての戸籍を見て「子供が存在するか?」を調べます。(前妻・前夫との間の子供がいないか、養子縁組している子はいないか、認知している子はいないか などに注意

子供がいる場合は、その子供たちの現在の戸籍を取得して、相続時点において存命かどうかを確認します。死亡している場合には、その子供に子供がいないかどうかを確認します。(代襲相続人の有無の確認)

③被相続人に子供がいない場合は親が相続人となりますので、親の現在戸籍を取得して存命かどうかを確認します。両親(養父母を含む。)が全員死亡している場合には、祖父母が存命かどうかを確認します。(別途、祖父母の戸籍を取得する必要があります。

④被相続人に子供がおらず親・祖父母が全員死亡している場合には、兄弟姉妹が相続人となりますので、両親の出生から死亡までの戸籍を取得し、被相続人の兄弟姉妹を確認します。(異母兄弟・異父兄弟も相続人になります。

兄弟姉妹がいる場合は、その兄弟姉妹の現在の戸籍を取得して、相続時点において存命かどうかを確認します。死亡している場合には、その兄弟姉妹に子供がいないかどうかを確認します。(代襲相続人の有無の確認のため、別途その兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍を取得する必要があります。

以上のとおり、家族構成によっては大量の戸籍を取得する必要があり、かなりの手間と時間を要しますので、戸籍の取得に慣れていない方は専門家へ依頼することをオススメします。

  

5.謄本・抄本について

役所で戸籍を取得する際には「謄本」か「抄本」のいずれかで発行してもらうことになります。この違いはというと、「謄本」はその戸籍にいる全員の情報を記載したもので「抄本」はその戸籍にいる人のうち特定の人の情報を記載したものであり、要は印刷する範囲の違いということになります。

ちなみに戸籍が電子化された現在では、「謄本」は全部事項証明書、「抄本」は個人事項証明書という言い方をします。

   

 

まとめ

戸籍はこれまでに様々な法改正が行われ、制度や様式が目まぐるしく変化しており、戸籍の読み方を理解するだけでも大変なことです。出生から死亡までの戸籍を取得するというのは相続が起きた時ぐらいしかしないですから、請求の仕方を調べるだけでも一苦労ですよね。ただ、これを早い段階で行わないことには次のステップへ移れませんので、相続後早めの着手と、大変な場合は専門家へ早めに相談されることをオススメします。

もちろん当事務所でも戸籍収集代行を行っておりますので、お気軽にご相談下さい。