相続税の基礎控除

こんにちは。

京都の相続専門税理士、アーム税理士法人です。

相続税の『基礎控除』について。

皆さんは死亡した人のうち相続税を申告する義務のある人は何%ぐらいかご存じでしょうか?令和元年中に亡くなった方のデータによると、約8.3%です。(特例の適用や税額控除により相続税が0円となった方を除くと約6%です。)つまり、90%以上の方は相続税を申告していないのです。これは「無申告」・「脱税」ということではなく、申告義務のない方になります。

では、どうなったら申告義務があるのか?

大雑把に言うと、亡くなった方の財産総額が『基礎控除』を上回ったら申告義務があります。

『基礎控除』とはいわゆる相続税の非課税の範囲です。

計算式は以下のとおりです。

 3,000万円 + 600万円×法定相続人の数 = 基礎控除の額

法定相続人の人数別に示すと、

1人:3,600万円   2人:4,200万円   3人:4,800万円

4人:5,400万円   5人:6,000万円   6人:6,600万円

となります。

亡くなった方の財産総額が上記の基礎控除を下回った場合には、相続税の申告義務はありません。その方たちが90%以上いるということです。つまり、相続税がかかるということは上位10%に入る富裕層であるということになります。

とはいえ、自宅と数千万円の預貯金のみしかない場合、「うちみたいなところに相続税がかかるなんて・・・。」という感覚の方が多くいらっしゃいます。

これは平成27年相続税改正が大きく影響しております。

平成27年に上記の基礎控除が大幅に改正されたのです。それまでは以下の計算式で基礎控除を求めていました。

 5,000万円 + 1,000万円×法定相続人の数 = 基礎控除の額

法定相続人の人数別に示すと、

1人:6,000万円   2人:7,000万円   3人:8,000万円

4人:9,000万円   5人:10,000万円   6人:11,000万円

現在の基礎控除と比較すると、相続人3人の場合では3,200万円も基礎控除が減少しているのです。改正前は確かに相当な資産家にしかかからないという感覚でしたが、現在ではプチ資産家にも相続税が課されるようになっています。この経緯が「何でうちみたいなところに相続税が・・・」という感覚を生んでいるのかもしれません。

また、亡くなった方の財産総額には不動産・預貯金・株・投資信託などわかりやすいもの以外にも生命保険や名義預金、相続開始前3年以内の贈与財産なども含まれます。よく生前のうちに預金口座からたくさん出金して残高を意図的に減らす行為が見受けられますが、引き出したお金をタンスに入れたままにしていたら、それは「現金」という財産(いわゆる「タンス預金」)になりますので、財産額は変わりません。これを財産として申告しなければ『脱税』となります。

ちなみに、借入金などの債務がある場合やお葬式にかかった費用などは財産総額から差し引くことができます。

 

 

まとめ

相続税を税務署へ申告する必要があるかどうかは、財産総額が『基礎控除』を上回るかどうかです。自分の財産は基礎控除を上回るのかどうか、一度ご確認してみてはいかがでしょうか。